今年1月にNHKスペシャルで「イゾラド」という、アマゾンに住む、文明に接触したことのない先住民族が10年ぶりに姿を現したという番組を流していました。ご覧になった方もおられると思いますが、私もタイトルに惹かれ、何気に番組を見ていました。ジャングルの食べ物がなくなったので、文明社会に接近して食べ物をもらう辺りのプロセスが流れていました。最初は友好的に食べ物をもらっていたのが、だんだんもっとくれ!とエスカレートし、遂には支援者の建物に侵入して乱暴を働くので支援者も退避した、というものでした。暴力に訴えなくても食糧はもらえるだろうから待っててくれればイイのに、と思いながら見ていました。ジャングル暮らしは大変そうです。
一方最近、5月辺りからでしょうか、毎日のように人を切りつけた、切りつけられたという殺傷事件がニュースに流れるようになってきました。つい先日は佐賀県で児童施設の女性職員が刃物で切られてお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。それにしても事件・事故が多い。詐欺事件の報道はしょっ中。被害額の大きさに驚かされることもあります。或いは通り魔的事件。また集団登校の小学生の列に高齢者の運転する車が突っ込んだり、高速道路の逆走もよくあります。枚挙にいとまがありません。また物価も上がり、スーパーに行って値段を見ると「うそでしょ?」と二度見する商品が多いです。何といっても最近は米ですね。
大変な世の中になってきました。
うっかり外に出られない。ボーッとしてると突然トラブルに巻き込まれるかもしれない。注意して周りを見ていないといけない。それはネット界隈でも、電話でも同じ。詐欺メールもしょっ中来ますから、うっかり開かないようにしないといけません。触ると怪我をしたり腫れたりします。
ん?これってジャングルと同じ?
街を歩くと一見安全そうで、綺麗に舗装され花壇には季節の花々が咲いてい、文明的な日常の風景が見られますが、実際はジャングルと同じかもしれません。家やビルの隙間から悪い奴らが獲物を探している。通路には落とし穴があるかもしれない。イイ香りに誘われてそちらに行くとトラップが仕掛けらえていて取り込まれ、多額の借金が残るかも。ジャングルではいきなり肉食動物に襲われたり、蛇に噛まれたりする危険と隣り合わせ、植物のかぶれや昆虫の毒にも注意しなければいけないでしょうが、危険が潜んでいる、という意味では同じかも知れません。
我々も「イゾラド」の皆さんと変わらない生活を送ってる?
我々の住むジャングルにも王がいて、家来がいて秩序は一応保たれいますが、王は王族の足の引っ張り合いで頻繁に変わるし、家来達は腰が重くて動きがにぶい。その隙に盗賊達が好き放題暴れている。さらに最近は近所の部族の力が強くなって国境でいざこざが増えた。遠くの大国の王は自己中な人になり、無理難題を突きつけてくる。それに影響を受けた国も増え始め…今はこんなところでしょうか?
うかうかしてるととんでもない事になりかねません。困った世の中になったものです。ただこれらは便利さの裏返しでもあります。アメリカの社会学者Wオグバーンは文化遅滞という概念を提唱しました。少し古い概念ですけど、今の状況にピッタリな気がします。彼は物質文化の発展に非物質文化の変化が追いつかない事により様々な混乱や摩擦が生じると主張しましたが、まさにそのような事態に陥っています。
例を挙げれば、インターネットを含む通信技術の普及に制度が追いついてない。国境を跨いでの詐欺犯罪に対処できない。詐欺電話や詐欺メールに十分対処できない。そもそも詐欺でも簡単に情報発信できてしまう。(BSや地上波の健康食品のCMはかなり胡散臭いと私は思っています。まずアレを何とかする必要があるのでは?皇◯で膝がよくなった人を見たことがない)スマホを大多数の高齢者は使いこなせない。ストーカー犯罪に警察が十分対応できない。反社会的飲食店に対する法整備が十分でない。スマホで簡単に賭博ができてしまう、などなど枚挙にいとまがありません。
もちろんソーシャルワーカーとしてはジャングルの中でも、一つ一つの事案に対処して生活を取り戻すべく支援する訳です。罠にかかった人の罠を解いてあげたり、毒をのんでしまった人を医者(祈祷師?)のところに連れて行ったり、猛獣に襲われている人に加勢したり。大変ですけど。現代社会もジャングルも、大して変わりないかもしれません。
自由という名のジャングルの中で、得体の知れないものが少しづつ勢いを増しているようです。イゾラドの皆さんを笑うことは出来ない。そんな気がします。
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